[八重歯] (Wikipedia)
八重歯(やえば)とは、歯牙が「叢生」した状態、特に上顎犬歯の低位唇側転位を指す 通俗的表現。 鬼歯とも。
上顎骨の劣成長や乳犬歯の脱落遅延などによって生じる現象であり、犬歯が正常に 萌出するためのスペースが確保できない場合に発生する。 また先天的な歯冠幅や骨格によっても左右されるため、遺伝的な要因が大きいとされる。 萌出後の顎骨の成長によって正しい位置に自然誘導されるケースもまれにあるが、 多くは人為的な歯列矯正が必要となる。
欧米諸国では、悪魔や吸血鬼の牙を連想させることから古くから忌み嫌われてきた。 歯列の悪い人は精神的にも劣等感を背負うことが多く、人前で笑顔を見せられないことは 社会的にも大きなハンディキャップとなるため、中流以上の家庭では例外なく 矯正治療の対象とされる。 そのため八重歯を持つ人は子どもに十分な医療費をかけられない貧困層の出身とみなされ、 蔑視の対象とされることもある。 こうした事情から、小児期に治療を受けられなかった人たちも、成人になって 経済的に安定すれば矯正歯科の門を叩くことが多い。
一方、宗教的なタブー意識が希薄で、人前では歯を見せないことを礼儀とした日本では 八重歯に対して非常に寛容であり、また混合歯列期の幼さを想起させることから 「可愛い」として歓迎する文化が現在も根強く存在する。 さらに国民皆保険制度の存在により通常の歯科治療ならば非常に安い金額で 受けることが可能であるため、保険適用外である歯列矯正は相対的に高額で贅沢なものと 認識されているという事情もあって、諸外国に比べて八重歯の矯正を行う人は 圧倒的に少数であるのが現状である。
近年では美意識の分野でも国際化が進み、かつてのように八重歯のタレントが もてはやされるような傾向は少なくなってきたが、アニメや漫画の世界では今もなお、 主として女性キャラクターの快活さや小悪魔的な奔放さを象徴する記号として 頻繁に使用されている。
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